ニホンザル歩行時の筋電と運動の解析

摘要

ヒトの歩行についてはさまざまな観点から計測され，解析されている．しかし，ヒト以外の霊長類の歩行運動は，ヒトと関連が高いと予想されるにもかかわらず，計測例·解析例ともに少ない．霊長類は訓練による二足歩行も可能であり，霊長類の二足歩行研究でロボットの開発やヒトの歩行研究が促進されると考えられるが，霊長類の二足歩行の研究はさらに少ない．霊長類の歩行については，Courtineらによるアカゲザルを対象とした研究があるが，対象は四足歩行である我々は，二足歩行の訓練をしたニホンザルを用いて，その筋電信号（EMG, electromyogram）と運動を同時に計測している．本稿では，EMGと運動計測から得られる関節角を分析し，ニホンザルの二足歩行と四足歩行を比較し，その違いを明らかにする．最初に歩容解析で二足歩行と四足歩行を比較する．次に，特異値分解により筋活動のまとまりの活性パターンと協調パターン，関節角のまとまりの活性パターンと協調パターンを求め，二足歩行と四足歩行を比較した．