ワイドレンジ水晶振動式荷重センサの温度特性改善

摘要

現在，様々な分野での応用のために，高感度，ワイドレンジかつ小型な荷重センサが必要とされている．例えば，在宅医療の分野では，10~6オーダーの計測範囲をもつワイドレンジ荷重センサにより，ベッドや椅子における体重や体動（～kN）と，呼吸（Nオーダー），脈拍（mNオーダー）など複数の生体信号の同時計測が可能となり，健康管理などへの応用が期待される．また，産業の分野では，大荷重の部品をもった状態でも安全のための接触検出が可能なロボットを実現のするためには，大荷重がかかった状態で微小荷重を検出可能なワイドレンジな荷重センサが必要となる．ひずみゲージ式センサ［1］，ピエゾ素子式センサ［2］など荷重センサに関する様々な研究がなされているが，高感度，ワイドレンジかつ小型な荷重センサは実現されていない．ここで，水晶振動子（QCR）は高い時間安定性を持った発振出力信号を得られ，発振周波数が水晶振動子に加えられた外力に正確に比例した変化をする性質［3］をもつ．また，圧縮荷重に対して高い強度を有するため，水晶振動子を安定に保持し，圧縮荷重を伝達するための保持機構や保持層を用いることで，ワイドレンジな荷重センサが実現されている［4-6］．しかし，従来研究においては，保持層と水晶の熱膨張係数の違いから熱応力による周波数出力の変動があった．これにより，水晶振動式荷重センサに用いられているATカット水晶振動子は，常温付近で優れた温度安定性からの悪化がみられた．本稿では，保持層に水晶振動子層と同じ水晶材料を用い，高いアライメント精度でセンサの接合を行うことで，水晶振動式荷重センサの温度特性の改善に取り組hだので報告する．