直接接触式潜熱蓄熱装置の放熱性能改善

摘要

太陽熱及び産業廃熱をはじめとする未利用熱源利用システムの確立は化石燃料消費削減及び二酸化炭素排出量削減に多大な効果がある。しかし, 未利用熱源の多くは間欠熱源である。そのため, 安定的な利用には蓄熱システムの導入が不可欠である。潜熱蓄熱法（Latent Heat Storage：LHS）は相変化物質（PCM：Phase Change Material）の融解／凝固潜熱を利用した蓄熱方法で, 高密度に蓄熱でき, 変態点一定温度での熱供給が可能である。そのため, 未利用熱源回収用蓄熱システムとして注目されている。また, 基本的には安定, 安全, 安価な物質の相変態を繰り返すだけなので繰り返し耐久性にも優れている。LHSにおける熱交換方式として, 蓄熱媒体であるPCMと熱媒流体（Heat Transform Medium：HTM）との直接接触熱交換方式（Direct-Contact Heat Exchanger：DCHEX）が提案されている。DCHEXにおける熱交換器兼蓄熱槽内にはPCM 及びHTMが充填され, HTM流入及び流出ノズルのみが設置される。流入ノズルから噴出されたHTMが密度差によりPCM層中を浮上する過程でPCMと直接接触熱交換される。蓄熱時, PCMは融解され, 放熱時PCMは凝固される。DCHEX は熱交換器兼蓄熱槽が簡易な構造のため高密度蓄熱が可阻それ故にオフラインシステムによる熱輸送も実現可能PCM層中へHTMが分散するため伝熱面積が増大する等の特徴がある。