鉛直磁場下における磁性流体の熱物性と水平密閉矩形容器内における自然対流熱伝達

摘要

近年のナノテクノロジーの著しい進展に伴い，マイクロデバイスの開発及びマイクロチャンネルを用いた伝熱促進の研究が急速に進hでいる．これに相まって，磁性流体，MR （Magneto Rheological）流体，ER（Electro-Rheology）流体を代表とする機能性流体の研究が急速に進められ，これらを作動流体とした伝熱機器への応用が期待されている．機能性流体とは外部力により物理的性質が変化する流体であり，本研究ではその一つである磁性流体に着目した．磁性流体は，強磁性微粒子を媒質に安定分散させた固液相のコロイド溶液の総称である．この流体は，1960 年代当初，無重力下における液体燃料移送制御を目的として NASA により開発されて以来，流動性を保ちつつ高い磁場応答性を併せ持つ特性故に工学から医療に至るまで幅広い分野で注目を浴びている．このことから，磁性流体の伝熱·流動現象の解明に関する研究がこれまでにも幅広く展開されてきたが，熱物性値やその温度依存性，熱特性·伝熱特性については十分な知見が得られていないのが現状である．したがって，本研究では，磁場下における磁性流体の熱物性値を評価し，熱輸送プロセスとしての水平密閉矩形容器内自然対流の伝熱特性を実験的に検討した．