キラル液晶の分子形状が相挙動に及ぼす影響の検討

摘要

液晶分子の分子的な性質とその相挙動に関する研究は実験や理論などを用いて広く研究されてきたが，近年では分子シミュレーションを用いた研究に注目が集まっている．分子シミュレーションでは，個々の分子の性質とその集合体の構造やダイナミクスの関係性を明らかにすることが出来る．例えば，液晶分子の性質の違いが系の3次元構造に与える影響については，Gay-Berneモデル［1］を用いて広く研究されている．Gay-Berneモデルにおいては，分子は回転楕円体として抽象化されるため実験系との直接的な比較は難しくなるが，一方でその系の挙動を特徴づける分子的な性質を網羅的に探ることが可能である［2］．そこで本研究では，Memmerらが開発したキラル液晶の粗視化分子モデル［3］を用いて分子シミュレーションを行い，キラル液晶分子の形状の違いが相挙動の与える影響を検討した．