多分岐管内気液二相流の気液分配に関する実験的研究

摘要

ヘッダに多数の冷媒チューブが並列接続された多分岐構造を持つ熱交換器では，流れが気液二相の場合，ヘッダからチューブへの気液分配が不均一化し性能が低下する可能性がある．そのため，多分岐管内の気液分配特性を明らかにし，分配の均一化を図ることは工学的に重要である．これまで，空気－水二相流で冷媒二相流を模擬する研究が多く行われているが，両者の相似性については不明の点が多い．また，チューブの加熱による冷媒蒸発の影響が，気液分配に及ぼす影響を調べた例も少ない．著者らは，水平ヘッダ·鉛直分岐管において冷媒二相流と空気－水二相流の可視化結果を比較し，後者で前者の流動状態を模擬するための流入条件を検討した．また，分岐管内の流れが上昇流の場合について，チューブを加熱した状態で冷媒二相流の可視化観察を行うとともに，チューブの温度分布と空気－水二相流で測定した気液分配率を比較し，空気－水二相流で蒸発を伴う冷媒二相流の気液分配を模擬することの妥当性を検討した．本研究では，分岐管内の流れを下降流に設定し，チューブの加熱による冷媒の蒸発が，管内の流れに及ぼす影響を可視化に基づき検討した．また，前報と同様にチューブの温度分布と空気－水二相流で測定した気液分配率の比較から，蒸発を伴う冷媒二相流の分配状態を空気－水二相流で模擬することの妥当性について検討を加えた．