レーザ誘起誘電泳動を用いたpL液滴内拡散係数測定デバイスの開発

摘要

pLオーダの液滴を利用したマイクロ流体技術は，微小体積内で反応·合成や分析を行うことで，均一性の高いナノサイズ粒子の生産·評価や，極微量を単位体積とした高スループットな実験操作を達成する．そのような微小液滴に分散した粒子を評価するために拡散係数測定の利用が期待される．拡散係数は粒子のサイズや構造，相互作用に感度を持つことから，これまでに蛍光相関分光法を用いた液滴に分散した蛍光粒子の拡散係数取得も試みられている．しかし，蛍光相関分光法は蛍光標識を必要とするゆえに測定試料に制約を有していることに加え，信号の積算に数十秒といった時間を要する．そのため，液滴内分散試料へ適用可能な標識不要かつ高速な分析手法が求められている．また，高速·微量·前処理不要な拡散係数測定は液滴内分析のみならず，工業的に用いられるナノサイズ粒子の生産プロセス評価やバイオ医薬品をはじめとする高価な生体試料の凝集体評価などにも有用であり，高品質なナノサイズ粒子生産や高スループットなバイオ医薬品分析に繋がると期待される．