渦発生体を有する自動販売機用高性能フィンアンドチューブ型熱交換器の開発

摘要

飲料自動販売機は街角やオフィスに置かれ，利便性は広く受け入れられている反面，2002年末に「エネルギーの使用の合理化に関する法律」（省エネ法）の特定機器に指定され，地球温暖化防止に向けた更なる省エネルギーの推進が望まれいる．コールド飲料，ホット飲料とを混在して販売する飲料自動販売機では庫内の冷却，加熱運転の効率向上が省エネルギー化には必要不可欠であり，高効率でコンパクトな熱交換器の開発が製品開発上の大きなテーマとなっている．近年，熱交換器の高性能化には低圧力損失，高熱伝達の実現性を秘めた渦発生体を用いた伝熱促進に関する研究が注目されており，筆者らは図1に示す2種類の渦発生体（Delta winglet pair, Delta wing）を用いたフィンアンドチューブ熱交換器を提案している．前報までに渦発生体を用いた伝熱促進での重要因子の抽出や2種類の渦発生体の組み合わせによる伝熱·流動特性を明らかにし，渦発生体を用いる上での指針を得てきた．本報告では，2004年度より弊社飲料自動販売機に搭載されている高性能フィンアンドチューブ熱交換器の製品開発経緯として，可視化実験と熱流体数値解析によりフィン上での流動および伝熱現象を明らかにし，上記2種類の渦発生体の最適な形状·配置に関する指針を得るとともに，その知見を基に設計した熱交換器の伝熱·圧力損失特性の評価を行うことを目的とする．