振動インテンシティによる車体振動伝達コントロール手法

摘要

近年の自動運転の普及や排出ガス規制の強化により車室内の静粛性向上と軽量化の両立が求められている．エンジンや路面の振動が車体骨格を経てパネルを伝わり音になる固体伝播音による車内音の低減を検討する場合，まず伝達経路解析（Transfer Pass Analysis；以下：TPA）やパネル寄与解析により，車内音への寄与が大きい入力点と放射パネルを明らかにする．そして，入力点の入力パワーを低減，放射パネルの共振周波数を変更するなどの対策により車内音は低減できる．しかし，入力点付近のフレームや放射パネルの板厚を大きくするなどの対策の場合，重量は大きくなってしまう．静粛性向上と軽量化を両立するためには，入力点の振動を放射パネルに伝えない，音になりにくい構造部分に積極的に伝えるといった振動伝達に着目した考え方が重要となる．そこで，振動伝達の評価方法として振動エネルギー伝搬を可視化する振動インテンシティ（Vibration Intensity；以下：VI）に着目している．振動エネルギーの伝搬経路を把握できれば，入力点構造やパネルの対策に頼らない，伝搬経路での対策検討が出来るようになる．