自然言語処理を用いた大手総合建設会社のRD 活動の分析：経営戦略への活用を目的としたRD トレンドの観測と可視化

摘要

企業は，限られた経営リソースを合理的に分配しながら競争優位性を確保していく必要がある．そのために，企業は他社の活動や業界のトレンドを注視しながら，自社の経営戦略に反映させる場合がある．財務諸表等に現れる構造化された量的データの分析（財務分析など）は，その目的で多くの企業で分析対象として認識されているが，公開情報のうち非構造化データとして入手可能な自然言語で書かれた情報は，従来経営戦略への反映を目的に分析されることは少なかった．しかし，近年自然言語処理が普及する中で計量的に扱うことが容易となり，業界のトレンドを観測する目的でも用いることが可能となりつつある．なかでも，企業の研究開発（R&D）に関する情報の重要な部分は自然言語で記述されることが多く，自然言語処理を用いて計量的に分析することができれば，企業は自社の経営戦略に反映させる目的で分析・活用すること容易になると考えられる．