変化係数関数加法モデルと農業データ分析への応用

摘要

近年の計測機器の発展に伴うデータ管理は農業の分野にも波及しており，農作物の生育に関連したデータが大量に計測されるようになった.これらのデータを適切に処理，分析することで，栽培管理の指針提供や農作物の収量予測などさまざまな価値を生み出すことができると考えられる.本報告では，施設園芸栽培における多段栽培トマトの収穫量と，環境要因との関係を表現するためのモデルについて考える.多段栽培トマトは，1株の苗が1年間という長期間で結実し収穫される.この収穫量は環境要因に依存していることが知られているが,その関係性は複雑で，1年間の時季によって異なると考えられている.この関係性を考慮に入れるために，本研究では，環境要因を時間の関数データとみなし，関数データ解析（Ramsay & Silverman, 2005)の枠組みで新たなモデルを提案する.なお，本研究の結果はMatsui (2020)に掲載されている.