変調ドープした二段階フォトンアップコンバージョン太陽電池におけるアップコンバージョン電流増大

摘要

われわれは単接合型太陽電池の変換効率限界を超える手段として、透過損失を減らすことに着目し、ヘテロ界面での2段階光励起(TPU)を用いた2段階フォトンアップコンバージョン太陽電池(TPU-SC)を提案し実現のための検討を進めている[1,2]。TPU-SC はワイドギャップ半導体(WGS)とナローギャップ半導体(NGS)を接合した太陽電池で、NGSで励起された電子がヘテロ界面に蓄積され、低エネルギーのフォトンによってWGSに励起されることで TPU が起こる。これにより太陽電池における主な損失である透過損失を減らすことが可能となり高い変換効率を実現できる。また、TPU-SCに逆バイアスを印加し、追加赤外光を照射した際にキャリアの引き出し効率増加により、電流密度のさらなる増大を確認している[3]。この太陽電池では2段階フォトンアップコンバージョンによる大きな電流増大を観測しているが、太陽電池の変換効率向上に寄与するためにはさらなる電流増大が必要である。今回、WGS 層に変調ドーピング層を設けヘテロ界面の電界を制御することで、アップコンバージョンされた電子の取り出し効率のさらなる向上が可能であることを確認したので報告する。