有機半導体ヘテロ接合の和周波発生分光

摘要

有機半導体の異種分子界面の構造を明らかにすることは、有機太陽電池などのデバイスにおける電荷生成や再結合プロセスを微視的に理解する上で重要である。真空蒸着などで形成した有機ヘテロ界面では、無秩序混合層の形成や分子の再配向が起き得る。このような複雑な界面構造を、界面に敏感な手法で把握できれば、デバイス内部のポテンシャルや基底状態で生じた電荷の密度分布を、より正確にシミュレーションが可能になるはずである。和周波発生分光(SFG)は、二次の非線形光学効果を利用し、表面・界面などの反転対称性がない系に選択的な振動分光である。SFGのシグナル強度は二次の非線形感受率(χ~((2)))の絶対値の二乗に比例し、分子配向などの情報が得られる。本研究では、有機太陽電池の典型的な光電変換界面である、C_(60) (下層)/a-セキシチオフェン(a-6T、上層)界面のSFG測定を行い、界面構造の知見が得られるかどうかを調べた。