環動高分子とプラズマ表面改質カーボンナノファイバー・カーボンナノチューブを用いた柔軟・強靭・高熱伝導複合材料の創出

摘要

近年のフレキシブルデバイスの発展により、機能性（導電性, 誘電性, 熱伝導性等）と柔軟性を両立した材料が求められている。例えば、IC 機器の発展に伴う発熱量の増加により、需要が高まる熱層間材料やエレクトロニクス放熱基板においては、熱伝導性と柔軟性を両立した材料が求められている。そのような材料を実現するために、硬い高熱伝導性の無機物質（フィラー）と柔軟なエラストマー材料（ゴム材料）を複合化することで柔軟性と熱伝導性を両立させる研究が行われている。ゴムと熱伝導無機材料の複合材料において、高熱伝導率（>1W/mK）を実現するためには熱伝導性の無機物を数十wt.%添加する必要があるが、多量の無機材料を添加すると、複合材料は強度の低下等の脆化をおこす。従来の複合材料においては機能性と機械特性はトレードオフ関係にある。我々は、上記トレードオフ関係を打破すべく、可動な架橋点を有する柔軟かつ強靭な環動高分子(Slide-ring elastomer;SR)と、プラズマ表面改質により SR との相溶性ならびに粒子分散性を向上させた熱伝導性無機粒子を複合化することで熱伝導性・柔軟性・靭性を両立した新規複合材料を創出してきた。