Type-3 FW CFRP 複合圧力容器の圧力サイクル下の疲労き裂進展とフラクトグラフィ

摘要

アルミニウム合金(以下、Al 合金と略す)製のライナーを炭素繊維強化樹脂(以下、CFRP と略す)で強化した複合圧力容器は、その軽量性から燃料電池自動車や酸素呼吸器に使用されており、十分な耐久性を備える必要がある。内容物の漏洩が問題となる場合、繰り返し使用により発生・進展するAl 合金製ライナーの疲労き裂進展を評価し、圧力容器の疲労寿命を予測した上で安全な範囲で使用することになる。内圧を受けるAl 合金ライナー/ CFRP 複合圧力容器の応力解析法は、主に航空宇宙用途を目的として発展してきたが、その疲労破壊メカニズムには不明な点が多い。著者らは従来、十分な静的強度と耐久性を有し，小型で軽量な複合圧力容器の最適疲労設計法を開発するための基礎的検討として,使用圧力70MPa を想定した複合圧力容器の疲労破壊メカニズムを評価し、Al 合金ライナーにおける混合モード疲労き裂進展に基づく疲労寿命を予測する方法を提案し、その有効性を示した。本研究では，圧力サイクル試験において得られたAl 合金ライナーの疲労破面の観察と解析を行い、特にAl 合金ライナーの疲労き裂進展に着目して、その作用応力範囲を検討した.