高解像度衛星計測から見た瀬戸内地域のPM_(2.5) 大気汚染状況の変化

摘要

瀬戸内地域では高濃度のPM_(2.5) が観測され，他地域に比べPM_(2.5) の環境基準達成率が低い．その特徴の一つに，瀬戸内海は多くの船舶が航行し，沿岸地域が船舶排出の影響を受けていることが考えられる．船舶排出に関しては，2020 年より船舶燃料中硫黄濃度の規制値が3.50%から0.50％に強化される．その効果の評価を目標に（独）環境再生保全機構による環境研究総合推進費「2020 年船舶燃料油硫黄分規制強化による大気質改善効果の評価（課題番号5-1802）」を実施している．船舶排出量データベースの構築（サブテーマ1），PM_(2.5) 汚染改善効果の観測的評価（サブテーマ2），PM_(2.5) 汚染改善効果のモデル的評価（サブテーマ3）を連係して推進しており，サブテーマ2 では瀬戸内海に面する2 地点における通年観測などを行っている．地上観測データとともに，面的な情報などを得られる衛星計測も重要な要素である（例えば，板橋ら，2014）．中分解能撮像分光放射計MODIS による空間解像度3 km のプロダクトによるエアロゾル光学的厚さ（AerosolOptical Depth: AOD）を用いた瀬戸内地域のPM_(2.5) 大気汚染状況の把握を検討した内容を昨年の年会では報告を行った（板橋ら，2019）．本分科会では，データ解析期間を直近まで延長した結果について報告を行う．