時間領域サーモリフレクタンス法による三脚型トリプチセンを用いたAu/SAM/水の界面熱抵抗測定

摘要

2 種類の物質が接合されたヘテロ構造の熱輸送特性においては、熱が流れる際に界面で生じる温度差、すなわち界面熱抵抗が重要となってくる。固体−固体間の界面熱抵抗は2種類の物質の接触具合に大きく依存するが、それとは状況が異なる固体−液体間においても界面熱抵抗が生じることが知られている。界面熱抵抗を制御するには、熱伝搬に対する界面における原子・分子の運動や相互作用の寄与を理解することが重要である。この問題に対して、有機分子の界面材料としての熱的性質に関する研究はほぼ未開拓である。一方で有機分子は、固体表面への吸着、液体分子との親和性、分子骨格、およびそれに起因する分子運動を設計できるため、界面熱抵抗を制御するための表面修飾剤として有望である。このような観点から、本研究では我々が最近開発した自己組織化単分子膜（Self-Assembled Monolayer, 以下SAMと表記）を用いたAu表面の修飾とAu/水界面の熱抵抗の評価を行った。