近赤外分光イメージング法による木材中の自由水・結合水の分子ダイナミクスに関する研究

摘要

木材中の水は一般的に自由水と結合水に分類される。内腔や細胞間隙に留まっている水が自由水であり、細胞壁に化学的に結合している水が結合水である。結合水の増減は木材の変形を引き起こし、強度特性に大きな影響を及ぼす。そのため、住宅や家具などに使用する木材を十分乾燥させるとともに、使用目的によっては熱処理や化学処理などを経てその吸湿性を弱める工夫が求められている。しかし、不適切な熱処理条件では材表面の割れや組織細胞の破壊などが激しく発生し、著しい強度劣化を招く危険性がある。より効率的な乾燥および熱処理 (適切な吸湿性)を達成するために、自由水および結合水の分布特性を非破壊かつ迅速的に把握できる測定技術の開発が望まれている。