一斉情報無線を使った列車無線車上局の二重化

摘要

東京総合輸送指令室で使用されている列車無線システムは、列車の運行指示や異常時における指令 員と乗務員の連絡手段として非常に重要な設備とされている。しかし、使用している周波数への妨害 電波などの外的要因や、設備自体の故障、列車搭載無線局（以下、車上局とする）の取り扱い不良な どにより一部区間で通話に不具合が生じる時がある。また、車上局の送受話器フックスイッチが接触 不良などにより、通話していないにもかかわらず無線機が送信状態のまま走行するという、通称「持 ちきり状態」となることがある。このため同一ゾーンに在線する列車は無線機が使用できなくなると いう現象が発生する（年間20件～30件）。この送信状態の列車を発見するのは容易ではなく、シス テムの構造上大まかな範囲でしか場所が特定できないことと、列車無線が使用できないために疑わし い列車の乗務員に確認を取りたくてもとれないため、復旧に長時間を要するという問題があった。