高齢者福祉施設における室内マイクロバイオームの実態解明に関する研究: （第1報）北海道高齢者施設の実態調査

摘要

今回のマイクロバイオーム解析によって施設内の微生物の実態について窺うことができた。その結果、検出されたほとhどの細菌が病原性を持ち、力つヒトから発生する種を含hでいることが分力ゝつた。さらに病原性のある細菌を含む属の中には日和見感染症の病原体もあり、高齢者施設には普通の居室用建物以上になhらかの対策が必要なことが窺えた。また主座標分析から分かるように、屋外の空気がそのまま室内に影響していることに加え、よく触るところは細菌叢が似ており誰かが感染した場合、間接感染の恐れがあることが窺えた。他にも施設ごとの主に検出される細菌は大きな違いは見られず、建物別の対策より建築基準レベルの対策が必要であることが確認できた。一方で、マイクロバイオームの研究は歴史が浅く、特徴が完全に分かつている細菌の種もごくわずかである。今回の結果でも種に関しては分からないことの方が多く、分かつている種の中でもリード数が最も多かつた種は病原性などの特徴がわからないままであった。今後の研究の進展によつて更なる情報が得られることが期待される。