外皮·躯体と設備·機器の総合エネルギーシミュレーションツール「BEST」の開発（その215)躯体の熱容量を活用した空調方法に関する検討

摘要

建築物総合エネルギーシミュレーションツールであるThe BEST Program (Building Energy Simulation Tool、以下BEST)では、建築•設備の速成計算が可能、多数室のゾーン境界における熱的相互作用を考慮した負荷計算が可能という特徴を持つ。さらに、冷温水管をコンクリートに埋め込hだ躯体蓄熱型の放射冷暖房システム(以下躯体蓄熱放射冷暖房）や自然換気·ナイトパージのような快適性向上や省エネルギーに寄与する技術のシミュレーションが可能である。本報ではこれらのBESTの特徴を活かし、建築·設備の一体検討を要する躯体蓄熱放射冷暖房に着目し、モデリング法及び基本解析を行う。躯体蓄熱放射冷暖房は、室内温度の平面的·断面的な温度ムラを軽減し、温熱快適性を向上させるとともに、熱源設備の高効率運転による省エネルギー化、負荷平準化による熱源容量縮小効果が期待できる。さらに中間期にはナイトパージと組み合わせることで、躯体蓄熱の効果をさらに向上させることが期待される。以上を考慮し、基本解析としては、①負荷特性、②室温変動特性、③省エネルギー効果、④外気導入による躯体蓄熱効果の検討を行う。