ヤング率を用いた耐火物の耐熱衝撃性評価

摘要

セラミックスや耐火物は融点が高く，高温下でも塑性変形しにくいため，溶鉱炉や溶融窯などの内壁に利用される．しかし急激な温度変化が加わった場合，熱衝撃により微小なクラックが発生することで強度が著しく低下する原因となる．そのため，高温下でこれらの材料を利用する場合，耐熱衝撃性を精度よく効率的に評価することは重要となる．現在，耐熱衝撃性の評価として一般的なのは急冷強度測定法である．これは熱衝撃試験前後の試験片の強度を測定する評価方法で，熱衝撃によるクラックが発生すると，それにより破壊が容易に起こり強度が低下することを利用している．すなわち熱衝撃時の温度差に対し破壊強度を測定することで，急激に強度低下が発生した時の温度差をクラック発生温度とし，その温度差の大小で評価を行う．しかしこの方法では破壊試験を伴うため，多くの試験片が必要となるうえ，得られるデータのばらつきがかなり大きいといった問題点がある．