水中プラズマによるマンゴー軸腐病の殺菌

摘要

多孔質ガラス膜を利用した水中放電プラズマ発生装置による殺菌処理において，界面活性剤を使用することの有用性を明確にするために，多孔質ガラス膜表面での気泡と放電スぺクトルの観測を行った。界面活性剤により液相に供給される気泡径は，53.2％小さくなり，OHのスペクトルが約1.3倍増加した。また，得られたOHの生成量増加が殺菌に及ぼす影響を検討するため，水中Arプラズマ源を用いた枯草菌芽胞殺菌試験及び水中O_2プラズマ源を用いたマンゴー軸腐病の殺菌試験を行った。OHが主な殺菌を担う水中Arプラズマ源による殺菌試験では，D値を活性剤無し時と比較して55.2％まで短縮し優位性が確認された。一方，実利用を模擬したマンゴー試験では，軸腐病を顕著に予防するに至らなかった。水中プラズマ源による殺菌は，収穫後24時間以上を経過した果実において，既に感染をしたものについては，その殺菌効果が及ばない可能性があると考えられ，処理方法等を見直し，追加試験を行う予定である。