農作物成長促進のためのビニルハウスの効率的な暖房方式に関する研究(第1報)高床式砂ベッドの砂層温度低下防止策の実験的検証

摘要

施設園芸は地球温暖化の進行により大きな影響を受けている農業分野において、重要な役割を担っている。しかし我が国の施設園芸は、暖房のエネルギー源のほと hどを石油に依存しており地球温暖化防止の観点から暖房用途の化石燃料消費の削減が求められている。また、野菜の価格高騰や農業従事者の高齡化で農業存続が課題である中、それらを解決する高床式砂栽培農業が注目されている。高床式砂栽培農業は、連作障害がないため生産性が高く、軽作業で栽培可能であるなどの特徴を持つ。しかし、作物を育てる砂ベッドの厚さが薄いことにより、砂層の熱容量が小さく、ハウス内の気温の影響を受けやすいので、冬期の連作回数のペースが落ちるというデメリットがある。現状では、高床式砂栽培農業は主に温暖地域で展開されており、冬期のハウス内の暖房は行われていないが、寒泠地域に導入する際には、暧房が必須となる。現在主流のハウス全体を対象に、温風暖房を行う方式は断熱気密性の低いハウスでは無駄が多く効率が悪い。