搬送システムへの利用を目的としたPM-LSMの並行同期運転手法

摘要

リニア誘導モータ(Linear Induction Motor以後LIMと略す)は，単純な構造や簡単な制御により駆動できることから長距離搬送システムの動力源として広く使用されている。最近では，高速制御と高加減速の要求から永久磁石型リニアモータ(Permanent Magnet Linear Synchronous Motor以後PM-LSMと略す)の利用が注目されており，精密工作機械などの産業用途で使用されている。それに対して当研究室では，搬送システムに利用可能なPM-LSMに焦点を当てている。通常，PM-LSMの初期コストは，全長に渡り固定子(電機子)を地上部に配置した場合，コストは高くなる。また，地上部に永久磁石を配置した場合は，台車に電機子を必要とし搬送の自由度の低下を招く。従って，当研究室では，固定子間欠配置PM-LSM (Intermittent Stator PM-LSM以後ISPM- LSMと略す)を提案している。このシステムは，間欠に固定子を配置することで固定子自体の使用量が減少し，かつ間欠部にカーズを設けるなどすることで走行路の自由度の向上につながる。また，間欠に配置することで固定子は複数台配することになるため，励磁する固定子を切り替えるセクション切替法の駆動方法を提案している。搬送システムにおいて搬送効率のボトルネックは，搬送物の積み下ろしにある。通常，積み下ろしは台車を停止させて行うため「Stop&Go」を繰り返し，効率の低下につながる。