ダイレクトドライブ式水圧人工筋の開発

摘要

比較的単純な構造を有しているソフトアクチュエータの一種としてMcKibben 型人工筋（以下，人工筋）が存在する．人工筋の特長として，1) 柔軟かつ軽量，2) イニシャルコスト，ランニングコストが共に低い，3) 単位質量当たりの出力が大きい，4) どの流体でも動作が可能，5) 人体との親和性がある，などが挙げられる． これらの特長を用いて，パワーアシスト装置，並びにリハビリテーション装置などの分野で活躍しており，適用するために先行研究も数多く存在する．これらは，近年の日本が急激な少子高齢社会に瀕しており，急増する高齢者を若年層が支えきれない状況になりつつあり，需要が増加傾向にあるためである．具体的には，老化による筋力衰退によって日常生活に支障を起こしやすい下肢や肘部のパワーアシストおよびリハビリテーション機器の開発である．一方で，人工筋の大部分はゴムで構成されているため，収縮時にゴム部分がスリーブによって摩耗しやすい．さらに，収縮性能は内蔵されているゴムチューブの特性に大きく依存しているため，使用するゴムチューブに左右されやすい． Fig.1 に供給圧力と人工筋の収縮力の関係性を示す．これは人工筋を0kPa から600kPa まで加圧・減圧し 50kPa おきに記録したものである．結果として，供給圧力と人工筋の収縮率の関係性は非線形である．同じゴム内圧でも収縮中と伸長中で収縮率が異なるヒステリシス特性を有している．この特性により，人工筋の制御は困難である．人工筋の変位制御を行う場合，直接人工筋に変位センサを取り付ける．