ドライバルク船の輸送品目別船型選択モデルの構築

摘要

国際海上輸送による資源貿易は，我々の生活に欠くことのできない重要な経済活動である．海運市場は，全体として複雑なシステムを構成しているものの，大局的な視点では，輸送需要と船腹供給の関係性が，市況を左右していると言える．船腹供給量は新造船の発注や解撤によって変化し，海上輸送市場に大きな影響を与える．一般に船舶は15～30 年の寿命を想定して造られているため，一度供給過剰が発生すると短期的な修正が困難であり，海運市場全体が不況に陥ってしまう．実際に，Fig. 1 に世界の船舶受注量の推移を示す通り，中国の発展に伴う海上荷動き量の活発化により2002 年頃から急激に受注量が増加したものの，その後のリーマンショックによる世界経済の不況と船舶の供給過剰で船価は大きく下落した．そのため，新造船の発注にあたっては，海上荷動き量と船腹量の需給バランスを考慮し，計画的な造船戦略を立案するのが望ましい．