可搬型水素エンジン発電機の水素流量推定法の提案

摘要

化石燃料からの脱却の観点から，次世代エネルギーとして水素が注目されている。水素を燃料とした発電システムに，燃料電池や水素エンジン発電機がある。水素エンジン発電機は，安価で耐久性に優れているが，水素供給量が不足するとエンジンが停止してしまい，反対に，水素供給量が過剰となるとエネルギー効率が低下する。そこで著者らは，比例制御弁を用いて水素流量を調整し，水素エンジン発電機の出力電圧を制御するシステムを構築し，PI 制御を利用して負荷変動に対し発電機出力電圧を100 Vに制御する方法を提案した。その後，負荷変動時の応答性を改善することを目的に提案システムにカスケード制御を適用することで，水素エンジン発電機の出力電圧を100V に制御し，PI 制御と比較して応答性が改善できることを明らかにした。しかし，カスケード制御を適用する場合，水素流量計のセンサ値を用いて制御を行っているため，水素流量計が必須となり，システム全体の価格が高価になるといった課題が発生する。そこで，水素流量計の代替となるシステムを導入することで，水素流量計を利用する場合と比較して，低価格でのカスケード制御実現が期待できる。しかし，先行研究では，水素エンジン発電機の水素流量を推定することは行われていないため，まず初めに水素エンジン発電機の水素流量を推定することができるか検証する必要がある。