ゼロ電圧ターンオンをする電力変換器のモデリングのための寄生容量に着目したスイッチング現象の実験的検討

摘要

本論文では、ゼロ電圧ターンオン動作する電力変換器におけるデバイスの寄生容量がスイッチングに与える影響について実験的に検証した。外付けコンデンサを接続することで寄生容量を模擬する実験によって，ドレイン電流は寄生容量を充電する電流に分流し，チャネル部への分流量は静的に測定したデバイスのI_d–V_(ds) 特性に概ね従うことが確認できた。また，ゼロ電圧ターンオン動作を行う共振型インバータを使用し，損失の観点から寄生容量の影響を実験的に検討することによって，チャネル電流i_(ch) がターンオフ時のスイッチング損失の原因となっていること，寄生容量に蓄積されるエネルギーの分はゼロ電圧ターンオンする動作では損失にならないことが確認できた。ゼロ電圧ターンオン動作する変換器のスイッチング損失は，従来の方法で計算または測定したものから，寄生容量C_(oss) に蓄積されるエネルギーの放電を仮定した損失を差し引いたものとすればよいことを，複数の方法で検証した。