ニューラル画像対画像変換による毛筆体文字の生成

摘要

ヒトの書字運動をヒントにした動的フォント法"とよばれるフォント生成法が提案されている。この方法では、仮想的な筆記具と筆記面を考え、B スプラインを用いた滑らかな3 次元軌道に沿って筆記具を運動させた結果として文字フォントを生成する。特に、運筆時の太さが重要となる毛筆体文字の設計・再設計において有用であることが示されている。しかし、筆記具が円錐形状という単純モデルで定義されており、実際に毛筆を用いた書字時にみられるかすれやにじみといった墨線の表現まではできていない。このような自然な墨線の表現までが可能な毛筆体文字フォントの生成をめざし、ごく最近、Sawangphol らにより畳込みネットワークを用いたペン字から毛筆体文字への生成法が提案された。しかし、ネットワーク学習用の文字画像データを手動で生成しており、データ数が小数であったこともあるが、複雑な運筆をもつ文字に対してはデコードした画像がややぼやけるといった課題が残っている。