マルチテナントアプリケーションにおけるテナント間の権限委譲方式に関する研究

摘要

クラウド環境のサービスにおいては、単一のアプリケーションを複数のユーザ企業が共用する「マルチテナント」型のサービス形態が増えつつある。このようなサービスは、同一のソフトウェア?ハードウェアリソースを共有可能となるため、サービス提供コストを低減できるメリットがある。マルチテナント型サービスは、テナント間でデータアクセスが完全に分離されるため、データエントリなどの業務代行や保守サービスを実現するには、本来のテナントユーザの他に別途ユーザID を発行して貸与するなどが必要となり、ユーザ管理コストやセキュリティ上で問題がある。ここでは、仮ID の発行や他テナントに対して不必要な情報公開を行うことなくテナント間の代行や保守サービスを容易に実現する「テナント間の権限委譲の方式」について報告する。