ラバーハンド錯覚を通した身体所有感に関わる実験

摘要

人は、自身の体に関しての位置や外見などに対して、目を 閉じていてもわかる感覚を持っている。この感覚は、自己受 容感覚と呼ばれる。この自3受容感覚と、視覚や触覚など の他の感覚入力を統合することにより、「自分の手（体）の 位置」を自覚し、自らのものであるという「身体所有感を生 みだしている。しかしこの身体所有感は、錯覚を利用するこ とで一時的に変化させることが可能であり、その有名なものに、ラバーハンド錯覚（Rubber Hand Illusion,以降RHI)が ある。この錯覚は、本物の手を隠した状態で偽物の手を提示 し、2つの手に対して同期的な触覚刺激を与えることによっ て、視覚と触覚から身体所有感に対して錯覚を起こさせるも のである。 RHIを通した身体感覚の解明は、例えば幻肢 痛や統合失調症などといった臨床の現場での応用の可能性が期待されている。