硝酸資化性酵母による環境水中の硝酸態窒素の除去

摘要

熊本県は生活用水源の約8割を地下水で賄うなど、生活産業の重要な水資源として地下水を活用する一方、農業肥料や畜産廃棄物などに起因するとされる地下水の硝酸態窒素濃度の増加による農畜産業等への影響が懸念されている。そこで研究者らは、好気性環境下で水中の硝酸イオンをアミノ酸·タンパク質源として取り込む（資化する）性質を有する硝酸資化性酵母のうち、天然由来で安全性が確認されているRhodotorula属の硝酸資化性酵母に着目し、培養特性と硝酸態窒素除去能を評価すると共に、熊本市の酪農牧場の井戸水より採取した地下水の硝酸イオンを97%以上除去したことを報告した。今回は、Rhodotorula属、Pichia属、 Rhodosporidium属の硝酸資化性酵母の硝酸態窒素除去能を比較した結果、さらに環境水への適用範囲の拡大を目指し、硝酸態窒素除去能に及ぼすアンモニウムイオンの共存の影響と熊本市南部浄化センター処理水の硝酸態窒素の除去を検討した結果について報告する。