EMI 低減技術の革新によるモータドライブの新展開:電磁ノイズのアクティブフィルタリング技術

摘要

本論文では，PWM インバータ駆動のモータドライブシステムが生じる電磁障害の効果的な抑制手法である電磁ノイズのアクティブフィルタリング技術について述べた。まず，PWM インバータの出力するコモンモード(CM)電圧を直接検出し，逆位相電圧を再注入することでCM 電圧を相殺するアクティブコモンノイズキャンセラ(ACC)を紹介し，フィードバック補償を併用することでCM 電圧減衰特性の向上を達成した改良版ACC についても，その動作原理を述べた。次に，放射ノイズに寄与するCM 電圧の高周波成分を低減できるアクティブコモンモードフィルタ(ACF)を紹介し，改良版ACC とACF の併用が，PWM インバータが発生するCM 電圧を幅広い周波数領域に渡って低減できることを示した。本論文で構成したモータドライブシステムは，伝導ノイズに起因する軸電圧，ベアリング電流に対する抑制効果のみならず，次世代パワー半導体デバイスの普及によって深刻化が懸念される放射性EMI に対する抑制効果も期待できる。