リチウムイオン電池の内部発熱量を低減する 充電電流パターンの簡易探索手法

摘要

リチウムイオン電池の急速充電に際し，一定電流充電に比べて内部発熱量（ジュール熱）を低減する充電電流パターンを，簡易的に探索する手法を開発した。探索した疑似最適電流パターンによる内部発熱量の低減効果を，周囲温度25°Cで平均150A×6 分（SOC20％分）の充電実験によって確認した。得られた主な知見は以下の通りである。1) 探索した疑似最適電流パターンは下に凸である。2) 疑似最適電流パターンは，一定電流パターンに比べてジュール発熱量算定値を0.5％低減（試算では0.22％低減）し，温度上昇量を0.4％低減した。ジュール損失や温度上昇の低減比率は小さいものの，充電制御器のソフト変更のみで実現可能であれば経済的な改善手段の一つとなり得る。今後の課題として，様々な条件下（電流レートや周囲温度など）における疑似最適パターンの探索や有効性の確認，真の最適に近づけるための内部インピーダンスモデルや探索アルゴリズムの改良等が挙げられる