水冷・油冷を併用したモータの冷却効果および損失評価の検討

摘要

モータには省スペースおよび軽量化の観点から小型化の要求がある。モータを小型化した場合、効率が一定と仮定すると放熱面積が小さくなることで発熱密度が高くなる。これによりモータ内部の温度が上昇することから、モータの小型化には高冷却化が重要である。一般に、モータの冷却方式には大きく分けて4 種類ある。具体的には、（１）モータ外に設けられたブロアやモータ自身のシャフトに直結されたファン等によってモータを空気で冷却する空冷方式、（２）モータ外表面にあるフレームに水を流通させる流路を設け、その流路に水を流通させることでモータを冷却する水冷方式、（３）絶縁性が高い冷却油をモータ内部に導入しモータの発熱源である固定子コイルを直接冷却する油冷方式、（４）これらの水冷と油冷を併用した水冷・油冷併用冷却方式がある。一般に、冷却性能は水冷・油冷併用冷却、油冷、水冷、空冷の順番で高いとされている。最も冷却性能が高い水冷・油冷併用冷却では、それぞれの液体を冷却するために、従来は外付けのポンプおよび冷却器が必要である。これらの追加装置はモータとは別個に設置する必要があるほか、モータへの供給パイプが新たに必要となる。このため、部品コストの増加や設置スペースの増大などのデメリットがあった。そこで、本開発では、水冷・油冷併用冷却で、油冷のためのポンプおよび冷却器を不要とした冷却方式を開発した。開発機では、冷却油を機内に封入し、回転子の回転作用により冷却油を掻き上げることで、機内の熱伝達性を高め、前述した追加装置を不要とした。