自己主張と他者受容を考慮したコミュニケーションによる学級集団形成モデル

摘要

中学校などの学級集団では，様々な個性を持つ生徒が存在し，教師が適切な学級運営を行う事などが求められる．そのため，マルチエージェントシステム（MAS）を用いた学級集団モデルに関する研究が盛hに行われている[1, 2, 3]．その中で青木ら[4] は，生徒のコミュニケーションスキルとして「同調」に着目したモデルを作成している．このような個人が持つ対人スキルは，学校生活において非常に重要視されており，友人関係を築く上で欠かせないものである為，様々なスキルをモデルに組み込み検証していく必要があると考える．内野ら[5] によると，そのような対人スキルが「学校適応感」に影響し，特に「自己主張」と「他者受容」がその中の「友人関係適応感」に関連がある事が示されている．そこで我々は，これらをエージェントが持つパラメータとしてモデルに組み込み，シミュレーション実験を行う事とした．指標として，周りからどの程度好かれているか（好感度）を[-1,1] の範囲で数値化し，また好感度を基にしてエージェント同士のつながり（友人関係）をネットワークとして定義した．シミュレーション結果と内野ら[5] の調査結果を比較していく事で本モデルの妥当性を検証する．