現在,日本の配電系統は,発変電所から電力を供給する放射状となっており,末端に向かって電圧が下がるように設計されている。ところが,今後分散型電源の普及が進み逆潮流の影響が大きくなるにつれて,ノード電圧を適正範囲内に保つことが難しくなる。ノード電圧が適正範囲を超えてしまうと,発電能力があるにも関わらず,分散型電源の発電を抑制,停止する措置が取られている。また,需要家の力率改善のために,需要家に進相コンデンサの設置を推奨しており,進相コンデンサにより進み電流が多く流れ,フェランチ効果,線路損失の増大を引き起こす恐れがある。このため,配電系統のノード電圧を適正値内に収めることに加えて線路損失の低減も重要な課題となっている。これらの問題を解決するために,FACTS機器(Flexible AC Transmission System)の1つである自励式無効電力補償装置(STATCOM)の導入が検討されている。STATCOMは,進み·遅れの任意の無効電力を高速かつ連続的に制御することができる。著者らは既に,複数STATCOMや進相コンデンサを用いて末端のノード電圧を制御し,線路損失を低減する制御法を提案している。本稿では、スマートグリッド構想により、各線路の情報をリアルタイムで検出できることを前提にSTATCOMにより全てのノード電圧を制御し,線路損失の低減を実現する制御法を提案する。試作システムを用いた実験により,提案制御法の有効性を検証する。
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