SVMを用いたPSS切替制御による電力系統安定化の一検討

摘要

近年，長距離送電系統の重大事故で発生する弱制動の広域的な電力動揺が問題となっている。その対策として，電力系統安定化装置(Power System Stabilizer：PSS)が設置されている。しかし，今後の電力系統では太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギー電源の大量導入や電力自由化の拡大による不確実性の増大が懸念されている。そこで，本研究グループでは，不確実性に対して有効なロバスト性を持つPSSの設計手法や，サポートベクターマシン(SVM)により系統状態に応じたロバスト制御器を選択する切替制御を提案してきた。これまで，多機系統モデルにおいて1機の発電機のみにPSSを設置し、制御性能の検証を行ってきた。しかし、実際の電力系統では複数の発電機が導入され、制御が行われている。そこで、実用性の向上を目指して，新たに複数の発電機へSVMによるPSS切替制御手法の適用を検討している。多機系統に設置されたPSSをSVMにより切り替えて制御を行う際には発電機間の相互干渉の発生が問題となる。そのため，設計順序が重要になってくると考えられる。