サイディング外壁におけるタイル接着剤張り工法の耐久性に関する研究その2 温水浸漬乾燥繰返し試験および凍結融解試験

摘要

その2では温水浸漬乾燥繰返し試験、凍結融解試験および複合劣化試験の結果について報告する。図1に温水浸漬乾燥繰返し試験による破壊状況の推移を、図2に接着強度の推移を示す。破壊状況は、接着剤の種類によって傾向が異なり、ウレタン系では温水浸漬乾燥繰返しにより下地材と接着剤での界面破壊が増加する傾向がみられた。変成シリコーン系では、界面破壊および接着剤の凝集破壊に変化はみられないが、ケイ酸カルシウム板にて下地材のシーラー部分での破壊の割合が増加した。接着強度は、全体的に低下する傾向がみられた。ウレタン系については界面破壊の増加によって界面での付着力が低下し、接着強度の低下につながったと考えられる。変成シリコーン系については、CS-MSのみ接着強度が大きく低下しており、下地材シーラー破壊の増加が原因と考えられる。なお、界面破壊はサイクル数が増すにつれて試験体の端部より中心に向かって進行していた。これより、界面破壊の増加は、端部の接着剤と下地材との間に温水が浸入、あるいは吸水膨張と乾燥収縮の繰返しにより接着剤と下地材の界面に繰返し負荷が生じることによって起こり、試験体端部から劣化が進行したと考えられる。