間柱型低降伏点鋼ダンパー付き RC 造の施工過程における軸ひずみの実測と評価（その 4） 施工過程の間柱軸力を考慮した設計方法

摘要

既報（その1）・（その2）および前報（その3）において，19階建てRC造集合住宅における下部層の主柱と間柱に関する施工過程の実測軸ひずみについて，施工段階解析による弾性ひずみにクリープと温度収縮の各ひずみを重ね合せることで概ね推定できることを報告した。さらに建物完成後も主柱の長期的なクリープによって間柱ダンパーの軸応力が漸増すると考えられ，施工過程で過度の軸応力が作用することは制震効果への影響が懸念される。理想的には躯体の上棟まで間柱ダンパーを固定しない施工手順が求められるが，特に高層集合住宅の場合には内装工事の遅れに繋がるため，施工期間を考えると現実的には難しいのが実情である。前報（その3）で実例を示したように，階の立ち上がりと同時に間柱ダンパーを固定するような施工手順であると，許容できない軸応力が作用する可能性があり，合理的な軸応力制御手法が望まれる。