飛鳥様式五重塔の鉛直剛性の評価に関する研究

摘要

伝統的木造構法五重塔は耐震性に優れている可能性があると指摘されており，これまでに実験的・解析的研究が進められている．現存する五重塔を対象とした非破壊の振動実験，縮小模型を用いた振動台実験などによって，基本的な振動特性が明らかにされ，塔全体のモデルも提案されている．河合らは，各層の上下動を考慮し鉛直方向のバネを設けた五重塔のモデル化を行っている（図1）．しかし，鉛直バネについては詳細な検証が行われていない．そこで，本研究ではその鉛直バネに着目し，五重塔の各重を台輪までの構面，組物層，小屋組層の3つの部分に分け，組物層と小屋組層について静的解析を行い，既往の実験とあわせて鉛直バネの性能について考察する．