モルタルを用いた繊維補強セメント系複合材料およびスチールチップ補強セメント系複合材料の構造実験その 2 引抜き付着試験の実験結果および考察

摘要

本実験から得られた知見を以下に示す。1.鋼繊維，ハイブリッド繊維，スチールチップともに補強により付着割裂破壊時強度，最大付着応力，付着剛性が増加した。2.付着割裂によるひび割れの発生状況は，無補強モルタル，繊維補強モルタルともにリングテンション抵抗機構が成立することを示している。3.鉄筋径が大きい試験体ではモルタルの付着劣化が進行し，表面付近の付着応力が低下した。今後の課題として，コンクリートを用いた場合や横拘束がある場合の付着性状を明らかにし，解析モデルの検討や設計式の提案を行なっていく必要がある。