加世田麓における武家住宅の架構の変遷と空間構成:鹿児島県南さつま市加世田における武家住宅に関する研究 その1

摘要

薩摩藩には外城制度という独自の支配体制があり、外城には行政の中心地である麓と呼ばれる集落が存在した。113外城の一つである加世田は、麓集落に現在でも多くの武家住宅の遺構が残存する。鹿児島県下の重要伝統的建造物群保存地区として知られる知覧•出水•入来における武家住宅の架構の変遷と空間構成との関係は明らかとなつているが、加世田麓における武家住宅については、体系的な研究がなくその実態は明らかではない。加世田は、明治以降、鉄道の開通や銀行•発電所開設等の近代化事業との関わりにより、南薩摩の中心として発展した経緯があり、江戸から明治以降にかけての武家住宅の寛容をたどり、加世田における建築的特質を明らかにする必要がある。