持続的注意のゆらぎの視聴覚間比較

摘要

わたしたちは，日常生活の様々な場面で持続的な注意を求められている．しかし常に注意し続けることは難しく，注意の水準には時間的ゆらぎがあり，簡単に注意が失われてしまうことも多い．このような注意の時間的ゆらぎはありふれたものだが，客観的測定は容易でなく，その実態の理解はあまり進hでいない．視覚に限れば，近年，持続的注意の変動を捉えることが可能になりつつある．従来のcontinuous perfor-mance task (CPT) には刺激呈示のsudden onset が注意状態に影響を与える可能性があった．Estermanらによるgradual-onset CPT (gradCPT) は，刺激を徐々に出現・消失させて重畳することでこれを解決した．しかし，この視覚gradCPT で示された特性のうち，何が他の感覚モダリティにも共通なのか，あるいは視覚特異的なのかは不明だった．