デジタルスチルカメラによる撮影画像を用いた抽出音波の帯域拡張

摘要

近年, ハイスピードカメラ撮影による高品質動画を用いた音波抽出手法が提案されている. この手法は, 高フレームレートの動画を用いることで, 動画フレーム間の画素の変位から物体の振動を抽出し, 物体に到来した音波を得る. この手法は, 気伝導マイクロホンと異なり物体の振動を直接計測可能であり, 周囲の雑音や音波の距離減衰の影響が少ないことから,監視システム等への応用が期待される. しかし, 高フレームレートの映像が得られない状況では抽出音波のサンプリング周波数が小さくなるため, 可聴域の音波を抽出することは困難である. この問題に対し,我々はComplementary metal-oxide semiconductor(CMOS) イメージセンサ内蔵のデジタルスチルカメラにより撮影した低品質動画像から音波を抽出する手法を検討している. しかし, 本手法は撮影画像のラインごとの変位を抽出するため, 被撮影物体の振動が微小となる高周波数成分の抽出が困難である. そこで, 本稿では撮影環境及び画像のエッジ検出手法を検討することにより抽出音波の帯域拡張を目指す.