集束イオンビーム装置を用いたToF-RBS とERDAの同時計測法の開発

摘要

これまでに、我々の研究グループでは、150 keV のベリリウムイオンにより飛行時間型(time-of-flight: ToF) ラザフォード後方散乱法(Rutherford backscattering spectrometry: RBS) を用いた非破壊三次元元素分析技術の開発を行ってきた。金や白金などの比較的重い元素の分析で、面内分解能42 nm、深さ分解能10 nm を実現した。RBS は、集束イオンビーム(focused ion beam:FIB) と組み合わせて用いることで三次元非破壊元素分析が可能である一方、重い元素の場合と比較し軽い元素の検出では散乱断面積が著しく小さくなるため短時間計測が困難であり、プローブイオンより軽い元素の検出は原理的に不可能である。以上から、RBS 単独では全元素の非破壊分析は実現できない。そこで、本研究では、RBS に弾性反跳粒子検出法(elastic recoil detection analysis:ERDA) を組み合わせて全元素の三次元非破壊分析の実現を目的に同時計測技術の開発を行った。