金属イオンの選択的検出に向けたチアカリックスアレーン吸着グラフェンセンサの開発

摘要

金属イオンは人体に有害なものが多く、特に重金属イオンは四大公害として知られているほどである。したがって、金属イオンの高感度な検出および種類の同定は極めて重要であるが、現在は原子吸光光度計のような大型装置が主流であるため、新たなデバイスの開発が求められている。今回我々は、金属イオンの選択的検出のために、グラフェンを用いた新たな金属イオンセンサの開発を試みた。グラフェンは炭素原子が二次元平面上に結合した物質である。その特徴としては、高移動度、化学的安定性、および、デバイスの小型化が可能であるため、センサの材料として注目されている。しかしながら、グラフェンのみを利用したセンサでは選択性は得られないため、金属イオンに対して選択性を持った別の物質と組み合わせることが必要である。そこで本研究では、グラフェンとFig. 1に示した金属イオンを捕捉可能なチアカリックスアレーン(TCA)を利用した、金属イオンに対して高感度で選択的な金属イオンセンサを開発したので報告する。