木造住宅密集市街地における避難経路検討のための考察雑司が谷での街路形状に着目して

摘要

狭隘道路が多い密集市街地は、災害時の安全確保のための改善が欠かせない。本稿では、而的整備ではなく、風情あるまちを残しつつ安全を確保するために、避難路の検討を、道路の形成過程を踏まえて試みる。木造密集市街地における狭隘道路の対応策については、実践でも研究でも多数ある。有田等は、但書き規定の運用の分析池宮らは、全国の自治体の狭隘道路対応策の分析、更に京都等の特定の市街地における運用を細かく分析している。改善に向けての提案等には、內田らの地区ごとの道路及び沿道建物や道路への表出に基づく研究もある。更に地区內道路の形状の詳細を分析したものに、高木らの、路地を活かした市街地整備のためにSpace Syntaxを用いる研究もある。本稿では、東京都豊島区雑司が谷1〜3丁目を対象にして、避難路の確保の可能性を検討するため道路形状分類を、路地形成の歴史的背景を踏まえた試みを行う。