現代日本のコートハウスにおける中庭と植栽による環境の統合(1)

摘要

ｺｰﾄﾊｳｽは、建物や塀で囲まれた中庭をもつ都市住宅の形式の一つであり、都市での生活に自然をいかに取り込むのかという計画上の普遍的な特質がある。特に、建物が密集し、四季の変化に富む現代日本の都市環境では、中庭における植栽のしつらえには、中庭という空間的な要素に加えて、落葉や開花といった植物がもつ自然の性質が直接的に備わり、自然、都市、生活という３つの環境の関係性が集中的に生じていると考えられる。そこで本研究では、現代日本のｺｰﾄﾊｳｽを対象に、中庭の形態や内外の生活空間との連続、植栽による設えを検討し、ｺｰﾄﾊｳｽにおける中庭と植栽による環境の統合的な性格を明らかにすることを目的とする（図１）。